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屍者の帝国のあらすじを最後まで 【ネタバレ】 後編

      2017/04/10

前回の続きから。(※中線以降ネタバレあり)


 

ネタバレあらすじ

日本に到着したワトソン達は手記の情報を入手。さっそく手記のある研究機関に潜入します。

研究所のゾンビを撃退しながらワトソンたちは、機関の奥で、ついにヴィクターの手記を発見します。手記と言っても手帳ではなく情報データのようなものでした。ワトソンはフライデーを生き返らせるために手記の内容を解析させます。

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解析が完了。これでフライデーも復活か?と思いきや、フライデーは「アァァァ」と悲鳴を上げながらウロウロし始めます。どうやらヴィクターの手記を読みこむだけでは復活しないようです。

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ここで研究機関にも火の手があがり、主人公たちは意識を失ってしまいます。薄れる意識の中で、突然ヴィクターの手記で生き返ったという初の成功例「ザ・ワン」が登場。ワトソンたちからヴィクターの手記を奪い去っていきます。

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ワトソンとフライデーはまたしても謎の美女ハダリーに救出されました。一行は手記をネコババした「ザ・ワン」を追って日本を離れ、船でサンフランシスコへ向かいます。

サンフランシスコではザ・ワンがスーパーコンピューターを乗っ取りました。そして手記のデータを音波に代えて街に発信。街の労働者ゾンビを凶暴化させます。

 

たちまちサンフランシスコの街は、ゾンビが人間を襲うバイオハザードの世界に。ザ・ワンはゾンビたちを使って”何か”を探しているようです。しかし、町中のゾンビを使って探しても見つかりません。「一体どこに隠したのか…」

 

サンフランシスコの街は、もう地獄絵図になってしまったので、ワトソン一行は途中でハダリーのセーフハウスに向かいます。しかし、そこに向かう道もゾンビだらけでした。さすがのハダリーもゾンビ達の攻撃を受けて、腕をパックリと負傷。その隙間から、メカの部品が…

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なんとハダリーは機械人形でした。彼女もまた、フライデーと同じように 自分に魂を宿そうと魂のありかを探している一人なのでした。衝撃の事実もはさみながら一行はセーフハウスに到着します。

 

一方、ザ・ワンは既に100歳を超えた老人なので探すのに疲れて、 古びた教会で体のメンテナンスをしていました。するとそこへ怪しい老人Mが再び登場します。Mはすぐさまザ・ワンを拘束。ヴィクターの手記も強奪し、ザ・ワンを連れて別のスパコンのあるロンドンへ向かいます。

どうやら、Mにも恐ろしい陰謀があるようです。

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終盤:ロンドン塔での決戦

 

と、ここでワトソン達の元に、ザ・ワンから通信が入り 自分達がロンドン塔に向かっていることが伝えられます。急いでロンドンに向かうワトソン一行。

Mはロンドン塔のスパコンを使って、ザ・ワンの脳を解析。さらにヴィクターの手記も解析します。Mはさらに、手記を書いた“ヴィクター博士の脳”まで所持していました。実はこれこそがザ・ワンの探していたものでした。

Mはザ・ワンと同じように、ロンドン塔から毒電波を発信。ロンドンのゾンビを操って、今度はロンドンが地獄絵図になっていきます。 イメージ2818

Mの狙いは争いのない世界を実現すること。そのために生きている人間までゾンビ化させて、全ての人間をコントロール可能にしようとします。

ロンドン塔についたワトソン達はMを説得しようとしますが、Mは「この先も非道な行為をやめられぬ人類は、どのみち自分でそれを破壊するだろう。いまここで終わらせるべきなのだ!」と全く 言うことを聞きませんのでワトソンはフライデーにスパコンの音波を抑えこませ、ハダリーが回し蹴りでMをぶっ飛ばしておとなしくさせます。

 

と、ここでMに拘束されていたザ・ワンが鎖を引きちぎって、「(Mの)後は引き継ごう」と言ってMを殺害。 同時に、ハダリーとフライデーを意識不明にさせます。

 

ここでザ・ワンの、おぞましい欲望が明らかになります。

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ザ・ワンの願いは2つ。1つは死んだ花嫁の復活、それからもう一つは自らの転生です。

ザ・ワンはハダリーの肉体に花嫁の魂を注入。さらに、フライデーに自分の魂を移し替えることでフライデーの体を乗っ取るつもりです。

 

ザ・ワンはロンドンのスパコンに、ロンドン中のゾンビたちの意識を集めさせます。その集まった意識の山から花嫁の魂を生成、それをハダリーに注入させるつもりです。

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「ハダリー・リリス君に魂を。花嫁の魂を構成する要素は解き放たれた。失われた我が花嫁の器となり、魂を得よ!感じるぞ‥キミの気配を…魂のぬくもりを!」

 

ワトソンは気持ち悪いザ・ワンを止めようとしますが、ザ・ワンの操るゾンビたちに抑えこまれて動けません。

と、ここで、ロンドン塔の動力炉が爆発! 一時的に、フライデーに意識が戻ります。ワトソンを押さえ込んでいたゾンビ達の動きも止まりました。

 

すかさずワトソンはフライデーに命じて ザ・ワンの魂をヴィクターの手記の中に封印させようとします。

 

<ここから現実なのか夢なのか分からない世界に突入>

ザ・ワンは手記に吸い込まれてゆきますが、最後の抵抗を見せます、なんとワトソンを掴んで道連れにする覚悟です。ワトソン危うし。
と、ここで魂の宿ったフライデーがワトソン救出に登場。ワトソンと一緒にザ・ワンを手記の中に閉じ込めます。

 

<ここから現実>

ロンドン塔は爆発して崩れてきました。ハダリーの呼ぶ声でワトソンは目を覚まします。ワトソン達は急いでロンドン塔を脱出。塔ごとスパコンは壊れてしまいましたが。集まった意識は拡散して、一部の街のゾンビに意識が戻りました。

崩れた塔を見上げるワトソンの手にはヴィクターの手記がありました。

ハダリーは自分の中に花嫁の意識が流れ込んだ時に、元の自分には戻れないような気がして怖かったと打ち明けます。ワトソンは恐怖を感じたハダリーの中には 既に魂があると告げます。
ハダリーはフライデーにも自分と同じように魂があると伝え、魂の探求を諦めないように励まします。

ワトソンは自分の研究室に戻ります。そして何を思ったのか、フライデーを使って自らの頭のなかにヴィクターの手記を封印させます。

ワトソンは薄れていく意識の中でフライデーに語りかけます。「もう一度君に会えるのだろうか…」

 

<画面暗転>
その後フライデーの手を握るワトソンの手が映ります

 

<ED>

フライデーは部分的に意識を取り戻し、ワトソンに対しての想いを語ります。

ワトソン博士 僕のペンはそう記す

彼はこの平原に姿を表さない

彼は手記を自らの頭の中に封印し

異なる言葉の地平へと去った

 

あの旅の日々の記憶は失われた

僕、僕は尋ねる

僕は意識を持っているのか

僕、僕は応える

 

この意識がいつ生じたのか

これから生じるものなのか

僕に分かることはまだまだ少ない。

 

ワトソン博士 僕にはまだ あなたに言い残していることがたくさんある

僕は物質化した情報としてここにある

いま 僕がいまここに存在しているのはあなたのおかげだ

もしかなうなら、せめてただ一言あなたに聞いてもらいたい

 

この言葉が物質化してあなたの残した物語に新たな命をもたらしますよう

 

ありがとう

 

それから4年後、謎の集団に追われるワトソンの姿が。ワトソンは新しい相棒シャーロック・ホームズの馬車に乗り込み、あっという間に遠ざかっていきます

ハダリーはアイリーン・アドラーと名前を変えて、そんなワトソンを見守っていました。同じく屋根の上でワトソンの様子を覗いていたフライデーは、静かに微笑むのでした。

おしまい

画像引用:「屍者の帝国」 WEB限定ファイナルPV

あとがき

屍者の帝国といえば、残念ながら2009年3月に原作者の伊藤計劃(けいかく)さんが34歳で亡くなられまして、30ページしか残されなかった遺構を、友人の円城塔(とう)さんが書き継いで完成させたという、非常に珍しい作品です。私には亡くなられた伊東さんがフライデー、円城さんがワトソンという風に重ねて見えてしまいます。作中では「キミの書く文章が好きだった」と語るワトソンの台詞が印象的でしたが、なにかこの作品からは 帰らぬ故人へのスタッフの想いや情念を感じます。虐殺器官もとても楽しみです。ご覧戴きありがとうございました。


【関連情報】

●映画「虐殺器官」の山本プロデューサーインタビュー(リンク