なるべく分かりやすく混沌としてきたシリアを説明する[沼だ…]
トルコ機によるロシア機の撃墜事件がおきて、ますます怪しくなってきたシリア周辺。
自称イスラム国(ISIL)あたりで何が起こっているのか、分かりやすく解説してみました。
Contents
シリアはどうなってきたのか
いきなりですが、シリアはどうなってきたのかを振り返ってみましょう。
2010年突如として始まった「アラブの春」事件を皮切りに、チュニジア・リビア・エジプトで独裁政権がバタバタと倒れました。その波は2011年のシリアにもやってきました。
デモが終わりの始まり
2011年3月中旬にシリアのあちこちで「大統領やめろー」と、民主化を求めるデモが発生しました。これが悲惨な結果になります。
この時の大統領は今と同じハーフィズ・アサド。(以下アサド)は治安部隊を使って反政府のデモ隊累計9000人以上をちん圧してきました。ところが、この時鎮圧していた人の中に「同じ国民同士で殺しあうのは変。」「なんで殺さないといけないのか」という考えで寝返る人が続出。市民側に立って戦いを始めます。これが自由シリア軍です。
この自由シリア軍に、後ろからお金や武器を応援してくれる国がありました。それがサウジアラビアとカタールです。なぜ応援してくれたのでしょう。それはアサドさんの宗教が絡んでいます。アサド政権というのはイスラム教シーア派系のアラウィ派。対するサウジやカタールはスンニ派の国家です。
同じイスラム教ですが、スンニ派から見れば、アラウィ派は邪教です。
混乱に乗じてISとヌスラ戦線が登場
さて自由シリア軍とアサド政府軍が戦って疲弊してくると、「お、シリアって警察もいないじゃん…これは勢力拡大のチャンス」とばかりに第三勢力が現れます。
それが、現イスラム国(IS)とアルカイダ系「ヌスラ戦線」です。
彼らはさっそく、政府軍の基地を襲い始めます。
ヒズボラの援護で ひん死のアサド政権は延命
アサド政府軍は劣勢に立たされて一気に潰れるのか‥と思いきやここに援軍が現れます。
隣国レバノンのヒズボラ(神の党)という武装グループです。
イラン軍の援護でアサド政権復活!
ヒズボラはイスラエル軍と長年戦ってきたアラブ最強と呼ばれる集団で、アサドと同じシーア派です。
敵対するスンニー派の勢力拡大は都合が悪かったのです。
ヒズボラの応援でなんとか延命できたアサド政権。さらにうれしい知らせが。なんと新たな援軍が現れます。隣国イランの革命防衛隊(規模12万5千人)です。こちらもシーア派。国境を超えてアサド政権の援護にやってきました。
対立軸を整理しよう
ちょっとここでシリアからズームアウトして全体を眺めましょう
(スンニ派)サウジ VS イラン(シーア派)
そうなんです。シリアという家で サウジとイランの代理戦争が始まってしまったのです。
アサドの復権はおもしろくない…アメリカ登場
大ゲンカしてる時に遅れて現れたのが、世界の警察アメリカ。アメリカは恐る恐る反政府勢力に支援を開始。
アメリカの好きなようにはさせない…ロシア参戦
アメリカが出てくると黙っていられないのがロシアです。シリアにはロシア海軍の基地があります。さっそく反政府軍(IS)の拠点に空爆を開始します。(2015年10月1日)→ロシアがシリアで対ISIS空爆
もう一回カメラを引いて勢力図をみましょう
サウジ VS イラン
アメリカ VS ロシア
反政府勢力VS 政府
こんな図式になっていますね。
ロシアに空爆されてブチ切れたIS。エジプトのシナイを飛び立ったロシア航空機を爆破(10月31日)。
これにプーチン大統領(以下プーチン)が激怒。ISへの空爆を激化します。「ロシア旅客機墜落の衝撃」
サウジVSイラン
アメリカVSロシア
IS VSロシア
ロシアもアサドも嫌い…トルコ参戦
ここで微妙な立場のトルコ。トルコはイスラム教のスンニー派です。トルコのエルドアン大統領はアサドが大嫌いです。ですので、アンチ・アサドなら誰でもオッケーという感じで、イラクとの国境管理も厳重に行っていません。
プーチンはトルコがISからの石油を買っている事に言及しています。実際にISに参加した若者はトルコ経由で密入国しています。ISはトルコの支援を間接的に受けていることになります。
トルコはロシア軍機を11月24日領空侵犯だとして撃墜。トルコとロシアの溝はさらに深まりました。
まとめ
シリアをめぐって様々な国が絡んで、今のような形になっています。空母を派遣したフランスも入れると 下のようになりますね。
サウジ・カタール VS イラン・レバノン
アメリカ VS ロシア
IS VS ロシア・フランス
トルコ VS ロシア
これでニュースが少し分かるようになったならば幸いです
ありがとうございました。